後立山(長野) 布引山(2683m)、鹿島槍ヶ岳南峰(2889.2m) 2023年11月3日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:04 大谷原−−1:58 西俣出会−−3:27 高千穂平(標識)−−4:34 冷乗越(県境稜線)−−4:45 冷池山荘−−4:52 テント場−−5:35 布引山−−6:12 鹿島槍ヶ岳南峰 6:57−−7:22 布引山−−7:53 テント場−−7:58 冷池山荘−−8:08 冷乗越−−8:41 高千穂平(標識)−−9:21 西俣出合(水浴び) 9:27−−10:06 大谷原

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2023年11月3日 日帰り
天候快晴
山行種類ほぼ一般登山(僅かに積雪あり)
交通手段マイカー
駐車場大谷原に駐車場あり。今年も橋を渡った対岸の駐車場も利用可能だがそれを知らない登山者が多い
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無雪が付くと南峰〜北峰間は危険。今回は雪があったので北峰には行かなかった
冬装備6本爪軽アイゼン、ロングスパッツ(使用せず)
山頂の展望どのピークも晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメントおそらく今年最後となろう鹿島槍へ。赤岩尾根上部のガレトラバース箇所には雪があったがまだ僅かで軽アイゼンで問題なく通過可能だった。冷乗越〜鹿島槍南峰直下まではほとんど雪は無くアイゼン不要で、登りは山頂までノーアイゼンで歩いたが下りは山頂直下のみアイゼン使用。南峰〜北峰間は完全に雪に覆われていたが、おそらく積雪は数cm程度で岩壁帯ではピッケルが効くとは思えず、積雪期より通過困難と思われる。北峰へのトレースは皆無だった。週後半から異常高温が続いていて気温は登山口から高めで山頂ではおそらく0℃前後。天気は良かったものの空気の透明度はイマイチで、西の風がやや強く山頂で風が避けられる場所が無く体感的に寒かった。下山時にすれ違った人数は10人に達しなかった


布引山から見た鹿島槍ヶ岳。南峰までは気楽に登れたが北峰までは完全に冬山モードで、相当の技術が無いと岩壁帯の下りは無理であろう


大谷原左岸側駐車場。私の車のみ 西俣出合堰堤トンネル
2054m峰 高千穂平(標識) 白樺平(標高2278m)
大町市街地の夜景 標高2330m付近で初めて雪が登場
尾根北側の標高2380m付近。アイゼン装着 下部のガレ
上部のガレ 冷乗越
冷池山荘 テント場。「別宅」に1張だけテントあり
布引山 東の空はモヤっていた
標高2800m付近 午前6時7分に浅間山北側から日の出
日の出直後の鹿島槍ヶ岳山頂 鹿島槍ヶ岳南峰から見た北峰
鹿島槍ヶ岳南峰から見た360度パノラマ展望(クリックで拡大)
鹿島槍ヶ岳南峰から見た常念山脈
鹿島槍ヶ岳南峰から見た槍穂
鹿島槍ヶ岳南峰から見た鷲羽岳〜水晶岳
鹿島槍ヶ岳南峰から見た立山〜剱岳〜北方稜線
鹿島槍ヶ岳南峰から見た白馬岳周辺
鹿島槍ヶ岳南峰から見た薬師岳 鹿島槍ヶ岳南峰から見た剱岳
山頂の鳥の足跡。ライチョウか? 下山時の山頂
下り始めはアイゼン使用 標高2860m付近。ここまで下りでアイゼンを使った
標高2800m付近 標高2680m付近から見た布引山
布引山 布引山から見た爺ヶ岳
僅かながら登山者あり 標高2640m付近
池の表面は薄く凍っていた 土は凍って足跡がそのまま
テント場から見た立山、剱岳 冷池山荘
冷乗越への登り返し 冷乗越付近から見た爺ヶ岳
冷乗越付近から見た種池山荘 冷乗越
冷乗越から見た西〜北の展望
赤岩尾根に突入 上部のガレ
赤岩尾根を見下ろす 下部のガレ
北斜面には雪が残る ガレを見上げる
高千穂平(標識)近くから見た鹿島槍ヶ岳
高千穂平(標識) つい最近、登山道を整備したようだ
木の階段はコールタールの匂いが強かった 西俣出合の堰堤
トンネル内に標識が退避してあった 西俣出合にデポされたMTB
西俣出合から見た鹿島槍山頂 今日は気温が高く汗をかいたので水浴び
標高1300m付近。完全に落葉している 標高1130m付近。ほぼ落葉している
工事中らしくゲートには鎖がかかっていた 大谷原左岸側駐車場
大谷原右岸側駐車場 大谷原から見た鹿島槍ヶ岳


 文化の日の3連休は比較的好天に恵まれる予報。ただし2日目後半に寒冷前線が抜けて弱い冬型となり、北アルプスは一時的だが天気が崩れる予報であり、初日に登ってしまうのが得策だ。連休初日は長時間安定した天候が期待できるので時間がかかる鹿島槍に決定。先週にまとまった降雪があったはずだが、その後は高温と好天が続いてかなり雪は減ったはずだ。ネットで調べると赤岩尾根上部のガレ場の雪も少なくて軽アイゼンで問題ない。南向きの県境稜線はアイゼンはほぼ不要そうだ。

 金曜夜の大谷原駐車場は車は1台も無いように見えた。少なくともいつもの左岸側駐車場はゼロ。まあ、これはいつもと同じだが。満天の星空で明日朝の天気も期待できるだろう。夜間もここ最近と違って気温は高く、薄着のまま寝ても寒くはなかった。

 翌朝、朝飯を食って午前1時に出発。相変わらず左岸側駐車場は私の車だけである。山頂まで5時間の見込みであり、ちょうど日の出の時刻に山頂到着予定だ。前回は飯豊や吾妻連峰が見えたほどの驚異的な空気の透明度だったが今回はどうであろうか。

 気温は最初から高いとは言え、夜中はそれなりに冷えるので長ズボンに長袖で出発。でも帰りは夏場並みに気温が上がる予報なので半ズボンをザックに入れておく。今回は暑さ対策グッズに扇と濡れタオルも持つ。濡れタオルを持つのは約1ヵ月ぶりか。出番が無ければいいが長野県内でも予想最高気温が+25℃を越えるとのことで、赤岩尾根は東向きなので朝から日当たりが良く下山時は暑いだろうなぁ。

 林道歩きを終えて西俣出合の堰堤内トンネルで横たわった西俣出合の標識を発見。もう雪の時期の準備をしてあった。山小屋はもう閉まっているしな。冬に入る直前のこの時期に登山道を整備したようで、前回は無かった場所に石の階段ができていたり、木の階段はコールタールの匂いがプンプンしていたりした。なお、階段の手すりは積雪による破損防止のため全て取り外されていた。

 尾根に取り付いて本格的な登りが始まってすぐに体温が上昇して半袖に変身し、それどころか長ズボンでは暑くて半ズボンに履き替えることに。それくらい気温は高かった。それでもまだ濡れタオルを出すほどではなく扇で扇ぐだけで汗を抑えられた。これも半ズボンに変身して足の放熱を効率的にできたからだろう。登山道は落葉が進んで落ち葉で滑りやすく、特に岩に乗った落ち葉は要注意だ。霜が降りているかと思ったら尾根の上部に出るまでは霜は無かった。

 高千穂平の標識が立つ2045m峰で高度計を校正。ここまで登ると真夏は高度計のずれが結構生じるのだが、気温が下がって以降はずれがかなり小さく、今回は10m程度低いだけだった。まだ周囲に積雪は見えないが、月明りで爺ヶ岳北峰や鹿島槍山頂部は僅かに白くなっているのが見えた。稜線には全く雲はかかっていないようで一安心。

 風が巻く影響か、赤岩尾根上部では西風ではなく東風が吹いていた。おかげで扇で扇ぐ必要が無く助かった。白樺平の黄色い標識は年中かけっぱなしらしく、まだぶら下がっていた。標高2330m付近で登山道脇に僅かな残雪が登場。しかし登山道が尾根北側に回り込むまではほぼ雪無しであった。

 登山道が尾根北側に回り込んで少し上がった標高2380m付近から登山道全体を締まった雪が覆うようになり、ガレ場のトラバースが近いこともあって軽アイゼンを装着。今日履いている登山靴は靴底がすり減って凸凹のパターンがほぼ無くなっているのでこういう場面では極端に滑りやすく、安全のため+楽をするためにアイゼン装着が望ましい。ただし雪は凍ってはいないので、靴底がすり減っていない普通の登山靴なら登りであればアイゼン不要でも通過できるだろう。

 ネットの情報通りガレ場のトラバースの積雪は登山道上に僅かにあるだけで、もしピッケルを持ってきても周囲に雪が無いので使いようがない。今回はバランスを取るためにゴムカバーを外したストックを持ってきたのでアイゼンと同時に取り出して使用したが、意外と使えるものであった。2箇所のガレを通過すればアイゼンの出番は終了で収納。冷乗越に出るまでにまだ雪が乗った場所があったが、傾斜が無いのでアイゼン無しでも問題なかった。

 冷乗越に出ると西風が出てくると予想されたのでその前に上にはウィンドブレーカを羽織った。予想通り県境稜線に出ると西寄りの風がやや強く体感的にぐっと寒くなるが、これまでが気温が高すぎたために登りだと快適な体感温度になった。冷乗越から周囲を見るとテント場に光が見えるが種池山荘から爺ヶ岳にかけての縦走路には光は見えなかった。劔沢小屋の営業も終わっているので立山〜剱岳の稜線にも光は見えなかった。

 雪が全くない登山道を下って登り返すと営業を終えた冷池山荘。工事も終わったようで全ての窓と出入口が雪囲いされていた。正面玄関の庇を支える柱群の隙間を抜けて進み、テント場に出ると狭い「別宅」スペースの一つにテントあり。光の主はこの住人だった様だが既に出発したようでテントに明かりは無かった。広い方のテント場にはテントは皆無だった。

 登山道が稜線東側に移ると日中は霜柱が溶けて地面が緩む様で、今は土が固く凍って足跡がそのままの形で固まっていた。帰りもまだ溶けていなかった。

 登山道が稜線西側に移って森林限界を越える前に、防寒対策で登山靴を脱いで長ズボンに履き替えた。冷乗越で履き替えても良かったのだが風に吹かれる区間は僅かしか無かったのでここまで引っ張ったのだった。ついでに先週から使いかけの使い捨てカイロを手袋に仕込む。先週は2,3時間しか使っていないうちに袋に密閉して空気を遮断したので、まだ3時間以上使えるはずだ。

 ハイマツ帯に出ると布引山へ上がる途中の先行者の光が見えた。振り返ると赤岩尾根上部に光が見えたが、相変わらず種池山荘方面に光は見えなかった。

 布引山への登りでハイマツの影に僅かに雪が登場したが、前回とほとんど変わらぬ状況。11月でこれだから雪は少ないと言えよう。それでも今年は昨年と違ってここまでに数回の冬型の気圧配置が生じているので、昨年よりは季節が進んだ感がある。

 布引山に到着。周囲はだいぶ明るくなってきて先行者の光はもう見えなくなっていたが、振り返れば赤岩尾根上部の光はまだ見えていた。東の空には雲はかかっていないが、残念ながら空気の透明度が悪くて霞がかかっていて、志賀高原の山並みもほぼ見えなかった。残念ながら今回は尾瀬や奥日光の山は見ることはできなかった。

 布引山を過ぎれば山頂までの最後の登り。ライトはどのみち帰宅後に充電する必要があり、ニッケル水素電池のメモリー効果を防止するために電池を使い切ろうと、明るくなってもライトを点灯したままにしたら、今回は4時間40分くらいで電池切れになった。前回は満充電にしてもここまで持たなかったが、おそらく気温の差が原因だろう。今の気温はおそらく0〜-1℃前後だろう。

 ここまで登ると日当たりがいい登山道上にも固く締まって滑りやすい雪が現れるようになるが、道端の雪は消えているのでそちらを歩く。ただし雪の区間は長続きしない。昨年の11月中旬に登った時と同じくらいの積雪かな。あの時も天気が良くて気温が高く、初冬とは思えない陽気だったなぁ。山頂直下の比較的広く雪が残った場所を登る先行者の姿がやっと見え、私との時間差は5〜10分くらいだと思う。

 山頂まであと5分という山頂直下で日の出を迎え、浅間山の左側から太陽が顔を出した。雲は無いが空気の透明度が悪いので眩しい太陽がいきなり現れるのではなく、いつの間にか太陽が出ていてじわじわと明るくなってくる感じだった。

 山頂直下で10mくらいの雪が続く場所が登場したが、前日以前に付けられた深く沈んだステップがあったので、登りではアイゼンを使わずに済んだ(下山時はアイゼン使用)。本当の山頂直下も同じような状況で、下山時は山頂出発時にアイゼンを装着した。

 山頂には先客のテントの主が一人だけ。冷たい西風がやや強いがこの山頂では風向きが悪く、どこにいても風を避けられる場所が無かった。仕方ないので風に吹かれながら防寒装備に着替えた。気温はおそらく-1℃くらいだろうが、風の強さは10m/sくらいあるだろうから体感温度は-10℃くらいだろう。まだ日が低いので日差しの温かさも感じられず、寒さに耐えられずに1時間しないで下山を開始することになった。

 空気の透明度はイマイチで北信の山々が霞んでしまうほどなので、志賀高原の山々は全く見えず、四阿山と浅間山だけが見えていた。奥秩父、八ヶ岳、南アルプスも見えず、常念山脈から槍穂さえも霞んでいて、はっきりと見えるのは薬師岳以北であった。裏銀座から剱岳にかけては真っ白だが、後立山は白馬岳周辺はかなり白いがその他は雪は多くなかった。

 鹿島槍南峰から見る鹿島槍北峰へ続く吊尾根は完全に雪が付いて真っ白。最難関である岩壁帯にも薄く雪が付いているのは確実で、今の時期は雪が薄すぎて積雪期よりも逆に難しいだろう。今回は元々北峰に登るつもりはなくピッケルは持ってこなかったので素直に南峰で休憩した。なお、吊尾根上に足跡は皆無であった。

 先着していた男性は短い休憩で戻っていって無人の山頂で冷たい風に吹かれながら休憩。さすがに5時間も休まずに登り続けてきたのでそれなりに疲れた。しかし午前7時前に寒さに耐えられず下山を開始した。

 山頂直下のみアイゼンを装着して歩き、長い雪の区間が終わってからアイゼンを脱ぐ。次にアイゼンの出番があるのは赤岩尾根上部のガレのトラバース付近だ。それまでの間に登場する短い雪の区間は傾斜が緩いので、滑りやすいながらもアイゼン無しで通過した。

 しばらくはすれ違う登山者は皆無で、布引山からの下りにかかるところで最初の登りの2人とすれ違った。おそらくこの2人が赤岩尾根上部に見えていた光の主だろう。私との時間差は約2時間かな。その後もポツリポツリと登りの登山者とすれ違ったが、赤岩尾根を含めて合計で10人に達しなかったと思う。ヘルメットにピッケルを持った人から夏山と同じくらいの小さなザックの人まで、装備はバラバラであった。まあ、今回はヘルメットもピッケルも過剰装備と言えよう。まさか北峰を目指していたりして?

 登山道が稜線西側から東側に移って一時的に森林限界を割るまでは防寒装備を着たままで歩てきたが、ここで風がブロックされるし天気が回復して日差しが強くなってきたので半袖半ズボンに着替えた。どうせ赤岩尾根に入ったら暑くなるだろうからと早めの変身だ。登山道が稜線東側に付いている区間は3週間前まではミヤマキンバイの花が残っていたが、さすがに今回は花は全く残っていなかった。小さな池の表面は薄く凍っていた。

 テント場に到着すると山頂での先客は撤収作業中。まだ他にテントは無し。今はもう冷池山荘が営業していないので水も担ぎ上げる必要があり幕営は大変だ。雪が積もっていれば雪を溶かして水が得られる様になるので少しは楽になるが、今度はラッセルがきつくなるので悩ましい。なお、今はテント場周辺には全く雪は無い。

 冷乗越に登り返して赤岩尾根に突入してアイゼンを装着してガレ場を通過し、尾根北側で雪が残る場所も通過して登山道が尾根上に戻る箇所でアイゼンを脱ぐ。高千穂平の標識がある2045m地点から先で急激に高度を下げるが、ここでの下りは暑さを感じるようになって夏場よりはマシだったが汗をかかされた。途中で濡れタオルを出して首に巻いて片手には扇を持ってパタパタ扇ぎながら歩いた。

 尾根を下り終わって堰堤手前の標識が立っていた場所で最後の登山者とすれ違った。涼しい堰堤内トンネルを抜けて対岸の林道終点でザックをデポして北股本谷へ下って濡れタオルで全身の汗を拭き取ってさっぱりした。11月に入ってもまさか水浴びするとはなぁ。林道終点にはMTBがデポしてあった。電動アシストかどうか分からないが、そうでない場合は登りでかなり疲れただろう。その分以上に下りは楽だろうけど。

 今は林道周辺もほぼ落葉してしまい空坊主の木が多い。路面は落ち葉に覆われて石の状態が見えないので歩きにくく、落ち葉が少ない場所を選んで歩いた。

 林道終点から40分弱で大谷原到着。ゲートは開いていて、代わりに鎖の車止めがかかっていた。土曜日だがどこかで工事をやっているのだろう。ご苦労様。左岸側駐車場の車は2台増えて合計3台で、右岸側駐車場は5台であった。大谷原から見上げる鹿島槍山頂は僅かに白いのみ。今は大谷原付近で紅葉がいい感じであった。

 

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